【処方コンセプト】尿トラブルのファーストチョイス

排尿痛、残尿感、頻尿などで小便の色が濃く(黄赤色)、1回量が少ない方に用いる。

◆五淋散の名前の由来は五種類の淋病(五淋)を治すところからきている。淋病とは頻尿・排尿痛・排尿の切迫した状態などを示す言葉で、性感染症の淋病とは異なる。五淋とは、石淋(尿路結石)・気淋(前立腺肥大、神経性頻尿)・膏淋(尿がクリーム、米のとぎ汁状になるもの)・労淋(過労からくる排尿異常)・熱淋(急性の尿路感染症)のことであり、五淋散は様々な尿のトラブルに対処することができる優れた処方である。

◆原典の『和剤局方』には「腎気不足し、膀胱に熱有り、水道通ぜず、淋瀝宜しからず、出ること少なく、起ること多く臍腹急痛し、畜作時に発症し、時に緩解する。、労倦すれば即ち発するを治す。或は尿豆汁の如き、或は砂石の如く、或は冷淋膏の如く、或は熱淋便血するは並びて皆之を治す」とあり、様々なタイプの尿トラブルに用いていたことがうかがえる。

◆消炎作用、利尿作用、止血作用などを併せ持ち、細菌感染によって炎症が起こっているような場合にも、細菌が膀胱・尿路に残存しているようなもの(利尿作用により細菌を排泄)にも効果が期待できる。膀胱炎などで抗菌剤により細菌を駆逐できたものの、症状が残ってしまうようなケースにもよい。

【処方構成】11味

主薬は山梔子と黄芩で、消炎・解熱・鎮静作用を持ち、黄芩はさらに利尿作用なども持つ。芍薬・甘草・当帰の三薬は鎮痙・鎮痛効果によって排尿痛を緩解する。地黄は清熱涼血に働き、止血の効果がある。芍薬・当帰・地黄は補血の効果を持つ。滑石・沢瀉・茯苓・木通・車前子には、すべて消炎作用と利尿作用があり、炎症をしずめ尿を稀釈して尿路の刺激性を緩和し、かつ細菌を洗浄する効果がある。以上のように消炎・解熱・鎮静・鎮痛・止血・補血・利尿などの作用があり、尿路系の炎症に対するファーストチョイス処方となる。

お悩み相談・お問い合わせ


お気軽にどうぞ!


★LINEで
友だち追加
★メールで

    最近の記事