【処方コンセプト】あれこれと思い悩む取り越し苦労に
このタイプの方は、不眠・驚きやすい・憂うつ・不安などの精神的症状のほか、胸やけ・食欲不振などの消化器症状も呈する。
◆痰とは咳嗽時に喀出する痰を指すが、これは狭義の痰。広義の痰は身体に流れる水が停滞して熱をもち凝集化した結果、粘性化したものを指す。熱をもったため、痰熱(タンネツ)ともいう。
◆痰熱は、ストレスにより粘液状の分泌物が多くなったり、平素胃腸の働きが悪い人が、水分を取り過ぎると、体内に病理的な水湿(湿邪)がたまりやすくなる。これが長く停滞すると熱をもち、さらに粘り気を増し、体内の気血水の循環を滞らせて、不眠・頭痛・めまい・胸やけ・食欲不振を引き起こす。
◆温胆湯は痰熱を除き、痰熱が引き起こす精神症状や消化器症状を改善する。さらに、胆を強めて胆力(決断力)をつける。
◆「胆(キモ)が据わる」という言葉があるくらいで、胆は決断力を主る臓腑である。胆の機能が虚すると物事にビクビクして、不安を感じるようになる。日常生活の中で一番決断力を有するのは、就寝する時という。よって、胆が虚することは不眠につながる。